動物には人間には気づかないようなことを察知することができるといいます。中には飼い主の身の危険を感じて知らせてくれるペットもいます。彼らには潜在的に危険を感知する能力、いわゆるシックスセンスがあるのです。これはアメリカに住むアルハンナ・バトラーと彼女の愛犬ケオラに起きた実話です。アルハンナと彼女の婚約者であるリッキーは彼女の妊娠がわかったときにとても喜びました。しかし妊娠4か月ごろ、愛犬ケオラが奇妙な行動をアルハンナに対してとるようになったのです。
新しい家族
アルハンナとリッキーは出会った瞬間にお互い恋に落ちました。子どもが欲しかった二人はある日病院から懐妊の知らせを受けとても喜びました。彼女は将来生まれてくる子どもの成長を一緒に楽しめる小型犬を飼いたいと思い、二人はかわいい子犬を飼い始めました。この子犬はケオラと名づけられました。
愛犬のケオラが、アルハンナの妊娠に気づくまでに、それほど時間はかかりませんでした。ケオラはアルハンナのお腹を見た瞬間からとても喜びました。ケオラはいつでも人懐っこく誰からも愛される賢い子犬でした。二人は妊娠がわかったケオラはより一層優しくなるのではないかと思っていました。ケオラはアルハンナのそばを離れることなく二人と共に新しい家族の誕生を待ちわびているようでした。街に散歩に行く代わりにアルハンナと一緒にソファに寝そべりました。しかしある日突然ケオラの行動が変わるのです。
新しい家族
ケオラのとった行動
普段は穏やかの性格だったケオラは突然全く違う行動をとるようになりました。アルハンナの大きくなったお腹にうめき声をあげ何時間にもわたって引っかき始めるようになりました。ケオラの鼻をおなかに突き刺すような行動はまるで彼女に何かを伝えようとしているようでした。しかしアルハンナとリッキーはケオラの行動の理由を理解することはできませんでした。ケオラはしかし彼らに何か重要なことを伝えようとしていたのです。
ケオラのとった行動
順調だった妊娠生活
アルハンナは穏やかな妊娠期間を過ごしていました。妊娠初期にほとんどの女性が経験するつわりを感じなかったのは幸運でした。二人は生まれてくる赤ちゃんに会える人を楽しみにしていました。いずれはもっと大きな家族にしたいと思っていました。アルハンナの妊娠期間はこのままそよ風のように過ぎていくと思われましたが、ケオラだけはアルハンナの周りで奇妙な行動をとり続けました。お腹を強く押すこともありましたが二人はそれがただの本能的な行動だと思っていました。しかし次第にケオラの行動に何か理由があるのではないかと考え始めました。
順調だった妊娠生活
急激な痛みが襲った
妊娠16週間目に差し掛かったとき、アルハンナ残しに経験したことのないような強い痛みを感じました。その痛みは想像を絶し歩くことも話すこともできませんでした。彼女は困惑しお腹の赤ちゃんが心配になりました。リッキーは彼女をすぐに近くの病院に連れていき痛みの原因を突き止めに行きました。
急激な痛みが襲った
病院での検診
リッキーは彼女とお腹の赤ちゃんの安全を心配しながら結果を待ちました。専門医に意見を求めました。二人は心配でたまりませんでしたが、診察した医師は母子ともに健康で異常は見つからなかったことを伝えました。そしてストレスは赤ちゃんの成長に悪影響なのでなるべく心身ともにリラックスして過ごすように伝えました。医師の言葉に安心した二人は家に帰りましたが、そこにはまだ彼らを悩ませる問題がありました。
病院での検診
極度の疲労と痛み
家についてまず彼らがしたことはケオラを抱きしめることでした。ようやく家に着いた彼らはただリラックスしたかったのです。アルハンナはいまだ激しい痛みを腰に感じていましたが医師の言葉に安心しこのまま安静にしながら赤ちゃんの誕生を待つことに決めました。アルハンナはベッドに横になり腰の痛みを和らげようとしました。その痛みは今までに経験したことのないようなものでした。
極度の疲労と痛み
フェイスブックで報告
翌日アルハンナは彼女とお腹の赤ちゃんの無事を伝えるためにフェイスブックに投稿をしました。腰痛は治ってはいないけど妊娠に影響はないと医師が彼女に伝えたことをそこで報告しました。また、ここ数週間のケオラの奇妙な行動についても書きました。この投稿に友人や家族から返信が来ましたがそのうちの多くはケオラの行動についても言及していました。その中にはケオラの行動は何かを伝えようとしているのではないかともう一度医師に診てもらうようにアドバイスするようなコメントもありました。
フェイスブックで報告
ケオラが伝えたかったこととは
ケオラは一体何を伝えようとしていたのでしょうか。犬が起こす行動にはすべて理由があるといいます。ケオラがアルハンナのお腹に固執した理由は一体何なのでしょうか。当時アルハンナは愛犬の行動に対してどうすればいいかわかりませんでした。さらに、彼女は医師の言葉を無視したくはありませんでした。彼女の痛みはそれからも消えず彼女の不安は膨らんでいきました。
ケオラが伝えたかったこととは
アルハンナの母親のアドバイス
アルハンナのほとんどの知人がもう一度医師のもとを訪れるべきだといいました。その中には犬の人間にはない力を信じている人もいました。
一向に腰痛がよくならないアルハンナにセカンドオピニオンを求めるように強くアドバイスしたのは彼女の母親でした。彼女の母親はケオラの行動が偶然ではないことを確信していました。彼女は動物の持つ本能や直感が人間より何倍も優れていることを信じていました。
アルハンナの母親のアドバイス
アルハンナの行動を阻止したケオラ
翌朝、アルハンナはまだ腰痛を感じていました。しかしいつも通り出勤の準備をし家を出ようとしました。そこにケオラが立ちはだかり何かを警告するように鳴き続けました。アルハンナにはケオラが何を伝えようとしているのか全く分かりませんでした。そして突然彼女は何かから切り離されたようにその場に崩れ落ちました。その大きな音を聞いたリッキーは彼女に駆け付けすぐに緊急治療室に連れて行きました。
アルハンナの行動を阻止したケオラ
緊急治療室
運び込まれた先でアルハンナは意識を取り戻しました。担当した医師に彼女は今まで自分の身に起きていたことを話し、徹底的に検査をしました。一連のテストを行いアルハンナの体に起きている異常の原因を調べようとしました。みんなが検査の結果を辛抱強く待っていました。そして結果的にケオラは確かにアルハンナに身の危険を知らせていたことが分かったのです。
緊急治療室
腎臓感染症
一連のテストの結果医師はアルハンナにある悪い知らせを告げました。彼女は非常にまれな二重腎感染症という病気を患っていたのです。さらに彼女のバイタルサインは非常に悪く病院に来るのが少しでも遅かったらアルハンナと赤ちゃんは助からなかったでしょう。彼女は自分とお腹にいる赤ちゃんの健康を心配しました。
腎臓感染症
極度の不安とケア
医師は抗生物質による治療を処方し、さらなる腎障害を避けるために必要なケアをしました。アルハンナは容態の安定を感じましたが子供を失なってしまうかもしれないという先の見えない大きな不安を感じていました。彼女はすべてがうまくいくことを祈ることしかできませんでした。
極度の不安とケア
治療の結果
治療の間、医者はアルハンナと彼女のお腹に宿る赤ちゃんを注意深く監視しました。そして幸い治療はうまくいき、アルハンナは腎臓感染症を克服し、彼女とお腹の赤ちゃんは共に健康になりました。妊娠は彼女にとって非常に長く疲れるものでしたが、誰もが新しい家族の誕生を待ち望んでいました。
治療の結果
赤ちゃんの待望の誕生
苦難の妊娠期間を乗り越え、ついに2015年11月に彼らの赤ちゃんがこの世に誕生しました。アルハンナとリッキーは生まれてきた男の子をリンカーンと名付けました。待望の第一子の誕生に夫婦は感極まる思いでした。母親のアルハンナが深刻な健康危機に直面したにもかかわらず、リンカーンは完璧な健康状態で産まれました！夫婦にとってこれ以上の喜びと安堵はありませんでした。彼らは愛犬ケオラにとても感謝していました。そしてついにリンカーンと愛犬ケオラが感動の対面を果たしました。
赤ちゃんの待望の誕生
退院してから
リンカーンは産まれた後病院で数日間を過ごしました。二人は生まれてきた息子を家に連れて帰り、そこで帰宅を待つケオラに息子を紹介するときが来ました。ケオラの奇妙な振る舞いや、ケオラが何週間もの間アルハンナに対して何かを伝えようとしていた日々が、まるで昨日の事のように思われました。アルハンナはケオラに大きな愛情を持っており、彼女が出産を終えた自分と、新しくやってきた家族に対して好意を抱いてくれるか、少し不安に思っていました。
退院してから
リンカーンとケオラの二人
アルハンナとリッキーは小さな赤ちゃんと共に帰宅しました。長く、ストレスの多い時間を乗り越えてようやく家族皆で集まれたことにみんな幸せを感じていました。ケオラはアルハンナとリッキーが、新しい弟とも言える存在を連れてきたことにすぐに気付きました。二人が期待した通りケオラはリンカーンに会った瞬間から強い興味を示し、それからリンカーンのそばを離れたがりませんでした。その光景はまるでケオラがリンカーンをずっと前から知っているかのように見えました。
リンカーンとケオラの二人
ケオラのリンカーンへの愛
アルハンナとリッキーが期待した通りケオラは新しい家族であるリンカーンをとてもかわいがりました。リンカーンを家にやってきた瞬間から、ケオラは彼のベッドの側から文字通り身動きしませんでした。リンカーンが昼寝したり、ソファで食事をしたり、寝室のおもちゃで遊んだりしているときでもケオラはいつでも彼の近くにいました。ケオラは小さなリンカーンの親友のようでした。いつも自分の存在を見守っていてくれる小さな動物の存在は、赤ちゃんにとって何よりも心強いものだったでしょう。
ケオラのリンカーンへの愛
ケオラの愛情
リンカーンへの愛は深まるばかりでしたが、周りの人は彼らの体格さのせいでいつかケオラがリンカーンを傷つけてしまうのではないかと心配していました。しかしその心配をよそにケオラはリンカーンにずっと優しく接していました。どうやらケオラは一部の動物が持っていると言われる第六感を鋭く持っているようです！ケオラの優しい愛情はこの写真からも見て取れます。リンカーンはケオラの愛情と共に暖かく家族に迎えられました。
ケオラの愛情
一緒に成長する二人
リンカーンは、ケオラと共にすくすくと成長しました。そして気がつけば、彼は1歳になっていました。ケオラとリンカーンの間にある愛情で二人は切り離せない存在になりました。2人は何時間も一緒に遊びました。そして2人が非常に強く特別な絆を持っていることは誰から見ても明らかでした。アルハンナとリッキーは”2人の赤ちゃん”を、本当に愛らしく誇りに思っていました！
一緒に成長する二人
楽しい散歩の時間
「犬は人間の親友」であることはよく知られています。まさしくケオラとリンカーンは大親友でした。二人のお気に入りは、近所の公園で長い散歩をすることです。アルハンナとリッキーが、リンカーンのベビーカーを押しているとき、ケオラはその周りを絶え間なくうろつきそして一緒に歩きました。さらに愛らしいことにケオラは毎日の散歩の時間を知らせてくれました。アルハンナがリンカーンの身支度を始めるたびに、ケオラの興奮で喜びました。
楽しい散歩の時間
お昼寝の時間でも
もちろん、赤ちゃんと犬にとって外での長い散歩は大変疲れるもののため、散歩から帰るとケオラとリンカーンは必ず昼寝を一緒にしました。犬と赤ちゃんが一緒に昼寝するほど愛らしい行為はないですよね。特にこのケオラとリンカーンが一緒に寝ている光景は誰をも笑顔にしました。アルハンナとリッキーも二人が特別な絆で結ばれているのはよくわかっていました。二人は自然に特別な愛情と友情で結ばれました。
お昼寝の時間でも
ケオラの名誉
アルハンナはケオラが彼女とリンカーンの命を救ったのだと信じていました。彼女にとって、ケオラは愛犬であり英雄でした。それはどうやら周囲の人間にとっても同じでした！ケオラの存在は急速に噂で広まり、やがてケオラは、RSPCA（王立動物虐待防止協会）から、”動物ヒーロー賞”にノミネートされました。ケオラ、アルハンナとリッキーは授賞式に出席し、ケオラは賞を受賞しました。そしてもちろん、他にもたくさんの犬が、たくさんの栄誉を受けました。まさにケオラが取った行動は、名誉を与えられるに値する以上のものでした。
ケオラの名誉
笑顔語られるもの
名誉犬ケオラは、毎日毎日、小さなリンカーンを笑顔にさせます。それはとろけるようにい甘く、何事にも変えられないものです。この大親友の2人にある絆は永遠に続くものでしょう。リンカーンはまだ小さい赤ちゃんですがケオラとの特別な絆を理解しているようでした。彼らの絆は二人の成長と共にさらに強まりました。もしケオラがアルハンナに対して異常を警告しなかったならば、幸せな家族の行く末が、さらにはアルハンナとリンカーンの生命の行方が、いったいどうなっていたかを想像するのさえ難しいです。今、アルハンナと彼女の赤ちゃんが本当に元気なのは、ケオラのおかげでした。この写真にある笑顔が、その全てを物語っています！
笑顔で語られるもの
